新成人の皆さん。

遅くなりましたが…二十歳のお誕生日おめでとう。

 

何だか…忘却の彼方の自分の成人式前後のことを想い出して。

胸にきゅ~~ん♡と来るのと同時に。

私自身の二十歳なんてすっごく遠い過去のことなんだなあって。

妙に切ない心持にもなりました。

 

 

私たちおとな世代は、あなたたち若い世代に対して。

必ずしも希望ある未来、

生き易い社会というものを提供できなかったことを。

心から申し訳なく思っています。

 

 

せめて。出来る限りの力を尽くして、

現存する生きるための施策や人間としての基本的な権利を守り抜き。

あなたたち次世代にきちんとバトンタッチして事切れたい。

 

 

それが最低限のおとなとしての、

未来に対する責任だろうと希ってはいるんだけど。

だけど…及ばないことのほうが多いよね。

本当に申し訳なく思うんだよ。

 

 

 

私たちの世代の利己的な行いや果てない浪費、

後先顧みない享楽が。

 

バブル崩壊後、張子の虎のように襤褸が現れ、

砂の城のように脆く崩れて。

未来あるあなたたちの世代に、

ツケだけを回す結果にしてしまったことをただ悔やみます。

本当にほんとうにごめんなさい。

 

 

それでも。ひとつだけ言わせて。

これだけは憶えていてほしいんだよ。

 

 

あなたが生まれた日。

あなたのおかあさんもおとうさんも、

あなたが無事生まれてきてくれたことに…

ただうれしくて「ありがとう」って感謝していたんだよ。

 

 

それは本当のことだよ。

 

 

 

そして…あなたに対しては単に「幸せになってほしい」とだけ願っていました。

子どもが生まれた時、

両親をはじめ迎えるおとなはみんなそう願うと。

大昔から決まっているのです。

 

なぜなら。本来人は幸せになるためだけに生まれる存在だから。

 

あなたの誕生の知らせを受けた時。私もただうれしくなりました。

そして。あなたの人生が希望で満ちていて、

もし時々薄暗くなって光がはっきり見えなくなってしまっても…

本当はすぐそばに幸せが存在していますようにと願いました。

 

私だけではなく…あなたがこの世に生を受けたことを知った誰しもが、

あなたの幸せをただひたすら希いました。

 

 

 

 

06260001

*ハタチならぬ”12/5成人”を祝って呑むどっかのオバサン。このあと帰れなくなりました…

 

 

 

 

 

 

本当は生きるってことは綺麗なものだけじゃなくて。

汚くて痛くて悲しい現実もいっぱい背中合わせに存在しています。

 

それは時に絶望となって私たちを死に誘ったりさえすることも。

 

でもね。

絶望のどん底にある時にこそ。

ささやかな光が大きな希望として、明るく目に見えたりもするのだから。

 

 

幸せな時には。

小さな光は眩しく輝く存在に隠れて気づけないものだけど。

 

 

本当の不幸を知ったり、どうしようもない悲しみを識るからこそ。

生きていく希望や、

幸せの本質を学ぶということはよくありがち。

 

 

今までうまくいかなかったことや、

思い通りにはならないことを前に。

あなたもともすれば、

生きる意味自体この世にはないんだとも思ったりしたかもしれませんね。

 

 

それでも。

生きる傷みを他の人よりも多く知ったあなた。

自分の身を以て学ばざるを得なかったあなたは。

 

 

それだけ心の視力はよくなったんじゃないのかと私は確信しています。

 

 

…生きづらくて切ないこの世の中ではあるけど。

 

 

それでも大丈夫。

心ある人はちゃんと、社会にたくさん存在しているのだから。

 

 

だから、必要以上に怖がらなくてもいいんだよ。

 

 

もしも。今大きな苦しみと悩みのなかにあるんだとしてもね。

 

時が来ればあなたも社会に出て。

この世に望まれ、

必要とされて生きてゆける日が必ず訪れるんだよ。

 

 

 

 

この世界は決して天国ではないけど、

決して悪人ばっかりでもないんだ。

 

 

 

あなたのことを大切に思い。

あなたたち若い未来ある人のことを、

真剣に考えているおとなはこの世界にいっぱいいます。

 

 

生きづらい世の中ではあるけど。

少しでも希望を感じられる社会の実現を目指して。

 

自分たちの都合で汚してしまった分もうちょっと…

きちんと浄化して未来に手渡さなければと、

そう真剣に考えて行動しているおとなも少なくはありません。

 

 

 

もしも人生に躓いている、そんなあなたも。

きっと今は、未来に羽ばたき、

実行するための底力を培う時期なだけなんだよ。

 

 

今はうまくいかない人生を、

もしかしたら薄暗く後ろめたく感じているかもしれないけど。

 

 

 

本当はつらい時こそ。

人間はその本質を試されている時期なんだともいえます。

 

 

 

今は大地を根雪が覆う真冬かもしれない。

 

 

でも地面の底にはその雪を溶かし、

春を迎えるための力と強さが着実に備わってきていることを。

 

 

人生をちょっとだけ永く生きている者として。

 

心から強く…私は確信しているから。

 

 

 

誰しも幸せになるためにこの世に生を受けました。

あなたもそうだよ。

 

 

…だから。

この場を借りてお礼を申し上げるね。

生まれてくれてありがとう。

 

 

前田穂花