実は。
ここ暫く私が着ている服の数々に対してかなり辛辣な意見を寄せられることが続いていた。

いただいたご意見については全て真摯に拝読した。
真面目に受け止めたけれども…こちらが誠意を以て対応すればするほど。

結果的にはしんどくなっていくばかりだった。

最後はTwitterも閉鎖、現在の私は黒っぽい服に身を包んで人前に出ないようにしている。

「Twitterを利用する大半は十代以下。
あなたの着ている服が子どもに悪い影響を及ぼす」みたいな言葉も寄せられた。

正直。画像としては…
それほどセンシティブなものをアップしていたつもりもなかった。

Tweet自体言葉や表現にはある程度気を遣ってはいた。

確かに私は一般的な五十代女性の好みそうなものとは、
違う感じの服を好んで纏っていたのは事実だったけれども。

単に自分の好きな服を着ていたに過ぎなかった。

とにかく…私は以来手持ちの服を着て外に出ることができなくなった。
それくらい人目を恐れ続けている。

医師から「うつ病」との正式診断を受けている現在は、
他人の視線を恐れる余りに私は普段着に着替えられなくて…

パジャマのまま自室に引きこもる生活をやり過ごしてる。

近隣のスーパーに買い物に行くのすらびくびくとビビってるよ。

車椅子に乗っているというだけで目立つ私だから…
またイヤな目線から見られているのかなって自意識過剰なビビりぶり。

客観的に見れば本当にくだらないんだけどね。
それくらい私は心が折れまくりました。

ある日。私は本当に思い詰めちゃってて…
無意識のうちにクロゼットの中身を全て引き出してゴミ袋に詰めていて…
詰めている最中にはっと我に返ったり。

引っ張り出した衣装をまたクロゼットに戻す作業っていうのがまたしんどくて。

未だに衣装の半分くらいがそのまんま床に散乱してるよ。

半分ゴミ屋敷になった自室で私は息を潜めてる…なんだかな、もう。

そういう経緯のもと。
地毛が伸びたこともあってここ一ヶ月くらいウィッグを被らない生活。

今のところモサモサな黒いたわしみたいな私の髪の毛。
整髪剤で抑えて作り込んでいますが…
あともう少しでフツーのショートヘアに見えるようになるんじゃないかな…
希望的推測ね。

ただ…私がウィッグを被らないことをよくは思わない関係者も多いのも事実。

仕事の場くらいウィッグを被れという声もいただきます。

もう…こっちは車椅子のまま電車を乗り継いで。
うつで冴えない自分の心を鼓舞して鼓舞しまくって…

やっとの思いで仕事の打ち合わせに出向いたのに。

まあ。
仕事の打ち合わせにきちんと出向くのは社会人として当然だけどね。

私が疑問に感じるのはなぜ「ウィッグを被っていないと」相手に失礼なのか?ってこと。

直接面識はない方ですが。
四十代女性のライターさんで「白髪をカラーリングしていないと失礼だ」と…

担当編集者に注意され、
クライアントに批判されたというお話を伺ったことも。

本来ライターとは文章の巧拙が一番問われる部分です。

そこに髪の毛は全く関係ないのではないかと思ってしまう私は…
やっぱりトラブルメーカーなのかな。

――ウィッグを被って打ち合わせに臨む。
グレーヘアはカラーリングして仕事に出向く。

些細なことを疑問も感じずに無難にこなしておけば…
編集者やクライアントの言葉にライターとして心乱す場面も減るでしょう。

だけど…こういう言葉や意見って、
男性のライターさんならまず言われないよね…って私は感じちゃうんだよ。

それがどうして女性ライターであれば「仕事上マナーの一部」みたいになっちゃうんだろう。
もやもやしちゃうんだよ。

まるでそれらの意見のベースには「女の子は可愛く」「女の子は綺麗に」。
男性の心を「惹くように」美しくあれって意図が滲んでるみたいで…

平成も終わろうとしているのに何を時代錯誤な意見なんだろうと思うの…

男性への媚びの売り方がなんか気持ち悪くない?
なんでそこまでしなくちゃならないんだよ?ってイラつくよ。

四十代とか五十代の女性ライターでも現実はこんな状況なんだよ。
もっとお若い世代の女性ライターさん方は推して知るべしってところなのかしらね。

とあるアニメからの引用だけどさ。

有名な台詞に「カワイイは正義」っていうのがあるよね。

これって誰の目から見た「カワイイ」なんだろう。
誰のストライクゾーンを判断基準にしてるんだろう。

仮にブサイクだったら悪なのかな?

だいたいカワイイって定義も曖昧なのに。
何を以てブサイクなのかもこれまたわからないでしょう。

それなのに「ブサイク」とされたらば…
事実上いなかったことにされるのかしら?

確かに「カワイイ」ほうが生きていく上では得だよ。
本当です。

見た目が可愛ければそれだけで他人は(男女問わず)ちやほやしてくれます。
耳に心地よいリップサービスもいっぱいいただけるし。

それこそ若い女性ならステキな彼氏以外にも、
援助してくれるパパをゲットできたりって旨味もたくさんww

前田穂花に限っていえば…

地毛のまま黒っぽい服で車椅子ごと電車に乗るよりも…
ウィッグ着けて例のひらひらなほのかテイストの服を纏っているほうが…

電車内で車椅子に蹴りを入れられたり、
ありがちな「障害者は死ね」みたいな暴言を吐かれたり…

酔っ払いのジジイに終点まで絡まれたり…といった、
不快なことが激減(本当に文字通り激減)するので。

意図的に自分を可愛く見えるように作るということは。
ついては自分の身の安全を維持するためにも重要かもしれません。
真面目な話として。

それでも冒頭に挙げた通り。
あなたの服が嫌い…という趣旨の意見もいっぱい寄せられるわけだから。

可愛いとか綺麗だとか、あるいはブサイクだとか。
この辺りは見る人の主観による部分が多いだろうけれども。

とにもかくも。
着ているものや髪形ひとつとっても…

他人、特に男性の目を意識しつつ。
異性から気にいられるように。

女性自ら合わせるべきだという意見の押しつけが私は本当にイヤ。

このところヒッキーしながら思いあぐねています。

オフィスで仕事をしている場合は、
ネクタイ&スーツ姿の男性に合わせて女性にも、
一定のドレスコードが設けられているというのは、
やむを得ないでしょう。

オフィスではグループで利潤をあげるという一つの目標を、
達成するのが「仕事」であるという意味において。

オフィス全体のドレスコードを設定し全体の統制を図ることで、
企業全体のイメージを高め、職場の士気を高めることも大変重要だからです。

しかしながら…ライターは自由業です。

意図的に「みんなに合わせない生き方」を選んだはずなのに…

現実には他人の無責任すぎる主観や、
相手の思い込みからくる時代錯誤な意見に振り回される自分というのが…

他人の言葉に振り回され続ける自分が赦せなくなりそうだよ。

そして。
一見何の問題もなさげな「カワイイは正義」って台詞に潜んだ…
そのじつ他人への押しつけ的な「正義」。

特にネットの世界において顕著なのは…

自分にとって気にいらない奴、不愉快な存在や発言に対して。
自ら名乗ることは決してしないまま。

押しつけ的な正義を振りかざしつつ、
心が折れるレベルにまで激しい言葉を以て持論を押し付けては、
相手が立ち直れなくなるまで叩きのめす人々。

今や「正義」すらも気に入らない相手を殺すための狂気に満ちた凶器。
本当に世の中は荒んでしまったと思います…

せめて…この荒み切った世界に決して背を向けず。

悪意から来る無責任な正義の押しつけに心病んで疲弊しきったとしても…

再び立ち上がる勇気が必ずや持てますように。
立ち上がるために、どんな時も自分を正しい意味で愛せますように。

前田 穂花